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5分で読めて、最後にひとひねり。毎日ひとつ、短編をお届けします

ぞくっとする約4分で読める

晴れ、ところにより静けさ

午前零時をすぎると、水族館から客の気配が消える。二十四時間営業の看板だけが青く灯って、深夜割引の切符を買う者はほとんどいない。ほんのときどき、終電を逃した会社員や、眠れなくなった老人が、大水槽…

2026.10.13 07:12 配信
約5分で読める

透明なスクロールの向こう側

深夜のコンビニの蛍光灯は、いつも同じ音を立てる。カチ、カチ、と冷蔵ケースのモーターが囁く。私、店員は、その音がまるで世界全体の心音のようだと思い込んでいた。今日もまた、誰も見向きもしないデータ…

2026.10.12 21:00 配信
SF・近未来約4分で読める

雑草は台帳の外で咲く

巨大植物園の温室は、晴れた朝、ガラスの雲の下に海の底のような色をためていた。清掃係の彼は六時に入り、手押し車とモップで通路を順番に拭いていく。支柱の小さな画面には、鉢ごとの数字が浮かんでいる。…

2026.10.12 19:13 配信
SF・近未来約4分で読める

空は少しずつ金になる

蜜蝋を溶かす匂いで、一日がはじまる。修復室は美術館の地下二階にあり、窓はない。彼女は綿棒に溶剤を含ませ、黄ばんだニスを米粒ほどずつ落としていく。四年前には同僚が三人いた。いまは、彼女ひとりだ。…

2026.10.12 07:15 配信
約4分で読める

プラットフォームの残響音

コンビニ店員として働く僕の日常は、無機質な効率の連続だった。AIレジが「お会計完了」と電子音を鳴らすたび、心臓の鼓動だけが時代遅れのように大きく響く。今日は、システムが処理しきれないほどの「無…

2026.10.11 21:00 配信
意外な結末約4分で読める

天球は今日も好演する

街の明かりで星が消えきって何年かたった頃、N社が夜空を復元した。軌道に三万機の小型衛星が並び、それぞれが光の一粒になった。無料で登録すれば星が三百。月額を払えば、天の川まで見える。人々は空を見…

2026.10.11 19:13 配信
切ない約4分で読める

あたたかい海の最終回

臨海ホールの客席に、千の拍手が落ちた。彼は調整室のガラスの内側で、卓のフェーダーに指を置いたまま動かなかった。深夜ラジオの公開収録。四十年続く番組の、たぶん最後の夜だった。彼の仕事は、届いた投…

2026.10.11 07:15 配信
約4分で読める

最適化された黄昏の残骸

コンビニ店員の彼は、店内の監視カメラの映像が、ほんの一瞬だけ、ノイズと共に「過去の風景」を映し出したことに気づいた。それは、もっと無機質で、もっと感情が希薄な、別の時代の空の色だった。まるで、…

2026.10.10 21:00 配信
意外な結末約4分で読める

その声は残業している

深夜の物流倉庫D棟では、仕分けの指示は声だけで届く。彼がバーコードを読み上げると、ヘッドセットの奥から低い声が返ってくる。「棚3の8、2点、12番トラックへ」乾いて、よく通り、誰も怒らない声だ…

2026.10.10 19:12 配信
ふしぎ約4分で読める

終わりには値段がつく

閉園が決まってから、その遊園地の入場料は毎朝上がった。十一月の終わり、臨海線の終点の園は、五十二年目の冬に幕を下ろすことになった。彼は入場ゲートの係員として、閉園までの四十九日間、緑色の窓口に…

2026.10.10 07:22 配信
約5分で読める

消費される無関心という名の光景

コンビニ店員である俺は、陳列棚の隅に置かれた『限定AI香水』の陳列を目にしていた。その香りが、ただの合成芳香料なのか、それともこの街の消費熱を吸い取る何かなのか。自動計算された最適な購買行動を…

2026.10.09 21:00 配信
意外な結末約4分で読める

四十三階の霜を待つ日

「収穫:ミニトマト、2,137.4グラム。割れ:11。病害:0。」この三行に始まる報告書を、毎週金曜、エレベーターホールの投入口へ落とす。僕は四十三階、屋上菜園の管理人だ。

2026.10.09 19:08 配信
ふしぎ約4分で読める

等高線は静かに伸びる

印刷工場の夜勤は、一人で回している。用紙を替え、インクを確かめ、機械が唸りはじめたら、あとは刷り上がった紙の束をパレットに積むだけだ。発注データは夜のあいだに自動で届く。何を刷るかも、何枚刷る…

2026.10.09 07:15 配信

連続 18日連載中5分で読めて、最後にひとひねり。毎日ひとつ、短編をお届けします